そのおじいさんは本当におじいさんでした。

おそらく年齢は80歳近いことでしょう。

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腰が少し曲がっているのか、今にも椅子から落ちてしまいそうな姿勢で座っておられました。

それでも、その眼鏡の奥に光る眼孔は、現役の医師としての自信があふれ出していました・・・

東洋医学は「人」を診る

図書館で読んだ一冊の本によって西洋医学の限界に気づいたおっちゃんは、東洋医学について勉強したり、その分野の地域の専門家を探し始めました。

そして見つけたのが、隣県にある一つの内科クリニックでした。

そのクリニックのサイトを見たとき、「これだ!」と感じました。

そこには、消化器系の症状では検査で異常が出なくてもお腹を休めることが大切だということ、そしてそのための漢方・薬物療法、食事療法の進め方が詳細に解説されていたのです。

この「検査で異常が出なくても」というところが、おっちゃんのシャイなハートにガツンときました。

西洋医学では「病気」を診るのに対して、東洋医学は「人」を診るといわれます。

西洋医学でいう「病気」とは、細胞や臓器に異常が起きており、それが検査の数値として「見える」もののことを言います。

ですから、検査で何ら異常が出なければ「病気」ではないので、相手にされることが少ないわけです。

しかし、「見える」ところだけに焦点を当てるならば、多くの病気が見逃される可能性もあります。

なぜなら、たとえ異常があっても検査範囲以外であれば発覚しませんし、検査技術や診断の正確さも検査技師によって異なります。さらには、軽微な異常については特殊な機器でなければ検出できないことも少なくありません。

こうしたことを考えると、検査で異常がないと言われたからといって、決して安心することはできないわけです。

一方、東洋医学では、本人に自覚症状があれば診断を行います。

これは東洋医学が、「見えない」部分である「心」を「体」と一体と考え、心身のバランスを整えることに焦点を当てるためです。

つまり、検査で異常が出なくとも、本人が何らかの症状に苦しんでいるのであれば、既に病気に向かっているというわけです。

これが漢方医学でいう「未病」であり、東洋医学が「病気」ではなく「人」を診ると言われる理由です。

東洋医学では、問題が「見える」ようになるまで待つことを許さないのです。

おじいさんの触診

おっちゃんが見つけた内科クリニックは、内科医であり漢方医でもある高齢の院長が経営していました。

見るからにおじいさんという感じの第一印象で、はじめは「本当に大丈夫だろうか」と、やや疑いの目を向けていました。

しかし、おじいさん先生がおっちゃんの腹部や背中や足の要所を押さえ出すと、「イテテ」と痛みが走りました。

「そっ、そこだけは・・・」というポイントを的確に押さえてくるのです。

そして、ひとしきり触診した後に「だいぶん膵臓が疲れていますね。」と先生が言ってくれたとき、「やっぱり膵臓だったんだ」と何だかホッとしました。

エコー検査と血液検査をした限りでは大きな異常は見つかりませんでしたが、膵臓を休めることが大事だとということで消化剤を処方されました。

これはリパクレオンという消化剤で、慢性膵炎の診断がつかなければ処方してくれない病院も多いと聞きます。

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東洋医学の視点をもった先生だったからこそ、症状を和らげるという目的でこの薬を処方してもらえたのだと勝手に解釈しました。

そして、この薬をもらったことがきっかけで、その後のおっちゃんの体調も精神状態も上向いていったのですから、本当に感謝です。

健康は自分でつくっていくもの

「健康は自分の手でつくるものです。」

それが、おじいさん先生の教えでした。

そして「自分は医者だが、医者に病気は治せない」と言われました。

病気を治す力は、誰もが自分の中にもっているものであり、医者はそれを引き出すサポート役に過ぎないというのです。

最終的にその力を引き出せるかどうかは、各々の自分の努力にかかっているというわけです。

この教えを受けたとき、「これこそパラダイムシフトというヤツか」というぐらいの衝撃を受けました。

これまでも様々な機会に同じようなことを聞いてきたと思いますが、この時にこの状況で言われることで、何だかズシーンと腑に落ちたのです。

「自分で健康になる」

このときおっちゃんは固く決意しました。

そうは言っても、自分で病気やきつい症状に立ち向かうのは簡単なことではありません。

自分なりに何かの健康法を始めたとして、本当にこれでいいのか不安になったり、間違った情報を元に病状を悪化させてしまうこともあるでしょう。

やはり正しく導いてくれる信頼できる師匠が必要です。

そのようなサポート役がいてはじめて、自分の中にある治癒力を引き出すことができるのでしょう。

おっちゃんの上がり調子と混乱

おじいさんとの出会いによって、下がりっぱなしだったおっちゃんの心と体が少しずつ上向いていきました。

リパクレオンがとてもよく効き、食後にかなりスッキリし、食欲も出てきて体重も少しずつ増えていきました。

体力がついてきて、精神的にも余裕が生まれていきました。

おじいさんの教えによって「健康」に対する見方が変わった事も、大きな力になったと思います。

そして、「自分で健康になる」という言葉に従って、自己治癒力を高めるアプローチについて書籍、ネット、有料教材など様々なところから情報を集め始めました。

母親が熱心に実践していた東城百合子さんや森下敬一さんの自然療法、さらには最近の糖質制限や一日一食などをテーマとした健康本、古くから根強い実践者が多いマクロビオティックや西式健康法・西式甲田療法などを少しずつ学んでいきました。

しかし、学べば学ぶほど混乱が生じたのも事実です。

それらの様々な健康法の中には、全く正反対のことを述べるものもあります。

例えば、水はたくさん飲んだほうがよいか飲まないほうがいいのか、玄米を健康食の基本とするものと玄米は消化に悪いので良くないという説、どちらもそれなりに筋が通っており、納得するところがありました。

結局、どの健康法のどの部分を信じて、何を取り入れていけばよいのか、学ぶほどに道に迷ってしまいそうになったのです。

健康についての全体像を体系的に教えてくれ、道を示してくれる師匠の必要性を痛切に感じました。

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そして、

ついにその出会いが訪れました。(つづく)