おっちゃんが40歳を過ぎた頃のある朝、
起きたら動けなくなってました。
布団から起き上がれないのです。
「これは何だ?悪い夢でも見ているのだろうか?それとも金縛り?」
そんなことを考えながら何とか体を動かそうとジタバタしているうちに段々分かってきました。
どうも肩が動かないために起き上がれないのです。
普段はあまり意識しないことですが、布団から起き上がるときは肩をどちらかにひねって起き上がるものです。肩を動かさずに起き上がろうと思えば、腹筋の力だけでプルプルしながら起きなくてはなりません。
もともと腹筋の弱いおっちゃんの場合、肩が動かなくなったせいでまったく起き上がれなくなった訳です。
とりあえずもう一回寝てみたら何かが変わるかもと思い、一旦そのまま寝てみることにしました。
どれくらい寝たでしょうか?恐らく30分ぐらいでしょう。
「さて起きるか」
そんな誰も聞いちゃいないむなしい独りごとをつぶやきつつ起き上がろうとしますが、やっぱり起きれません。
この時になってやっと危機感を感じ始めました。
「このまま寝ているわけにはいかない。仕事に行かなきゃならん」
でも、どうやって?
近くでスヤスヤ眠る嫁に「助けてくれ~起こしてくれ~」と叫ぶか?
いや、それは男としてちょっと情けない気もする・・・ますます嫁に弱みを握られる・・・(どんな夫婦やねん!)
かくなるうえは・・・
これまで出したことのない最大級の力を振り絞ってとにかく起きるしかない・・・
覚悟を決めたおっちゃんは、自分では映画アルマゲドンのブルース・ウィルスぐらい気合の入ったカッコいい顔をしているつもりでした。
『どぉんわなぁ~くろ~ずまいあ~いずぅ~♪』
頭の中でエアロスミスの曲が流れる中、カウントを刻みます。
ワン、ツー、スリー・・・
「ふんがぁぁ~!!」
奇声を発すると同時に、肩のあたりから「グキグキグキッ」と異音が聞こえたような気がしました。
そして経験したことのないような激痛と共に、なんとか起き上がることができたのです。
四十肩生活はじめました
とりあえず布団から起き上がったものの、そこからが大変です。
まずパジャマを自分で脱げません。状況としては腕を一本の木切れで作られたカカシが、自分の服のボタンを外そうとしている姿を想像してください。
体全体を何とも言えない形に傾けてやっとどうにか外しましたが、ズボンのベルトやネクタイ締めるのもかなりつらい状態です。
次の試練は運転です。痛みはするものの何とかシートベルトを締めてハンドル握ることはできました。しかし、とにかく振り返れないのですからバックができません。
かなり危険ですが、首の可動範囲である横を見ながらあとは勘でバックしました。幸い事故にはならなかったようです。
職場で人から呼ばれて振り向くと、スターウォーズのC-3POみたいな動きになります。
「いっそのことロボットの着ぐるみ着てたほうが、精神的に楽かも。」
周りから苦笑される度に何度もそう思いました。
また夜に寝るときが一苦労なのです。寝ようとして体を支えて横になる動作が一番肩に加重がかかってしまうです。
肩を使わずに横になろうと思えば、トランポリンに飛び込むかのように、寝る姿勢のまま布団の上にジャンピングしなくてはなりません。
それはまた別のダメージを誘発しそうなので、結局「ふんがぁ~」と気合を入れて布団の上に腕、肩をついて痛みに耐えつつ布団に入ります。
そんなこんなで「これはいったい何なんだ」と、ネットで調べたら、これこそかの有名な四十肩の症状だったわけです。
四十肩の原因は?
四十肩というのは、正式には肩関節周囲炎という炎症の一種です。
四十肩になる原因というのは、実はよく分かっていないようです。
ただ、普段から肩の筋肉をあまり使っていなかったり、偏った使い方ばかりをしていると、筋肉が固まってしまって他の動きができなくなることがあると言われています。
特にスマホやPCを操作する時間が多いと、腕・肩を体より前に出した状態に姿勢が固定してしまいます。これは四十肩につながる可能性があるようですから要注意です。
長い時間前方に腕を伸ばしているようなときは、意識して腕を上げたり、肩をまわしたりして時々筋肉をほぐしてあげなくてはなりません。
ただ、20代ではどんなにPCで長時間作業しても四十肩にはならないと思いますから、やはり肩が固まるのは老化現象の一つなわけです。
ちなみに昔は六十肩といわれていたものが、段々低年齢化してきて五十肩・四十肩という言葉がよく聞かれるようになったらしいです。やっぱり現代人のほうが偏った筋肉の使い方をしているんでしょうね。
四十肩は簡単には治らない
「いったいいつまで我慢すりゃいいの?」
そう思って調べてみると、大体2年ぐらいは痛みなど何らかの症状が続くことが多いようです。
「2年!?」
その場で少しフラッと気絶しそうになりました。
しかし、痛みのひどい急性期は早ければ数週間で終わり、その後は徐々に軽快することも多いようです。
おっちゃんの場合も最初の一週間は壊れたC-3POのように痛みにのた打ち回っていましたが、その後は少しずつ痛みが無くなっていきました。
それでも肩が支障なく動かせて、全く気にならなくなるまでに半年ぐらいはかかったと思います。
2年はかからなかったので比較的軽いほうだったんですかね。
四十肩の治し方
四十肩かな?と感じたら、痛みのひどい急性期は安静にすることが大切です。
この時点で無理にストレッチをしたり、変なことをやるとかえって悪化させる原因になります。
この時期は患部を冷却したり、消炎鎮痛剤で痛みを抑えたりして、安静でいることが回復を早めます。
急性期を過ぎて痛みが軽減してきたら、今度は逆に肩を少しずつ動かしていかないと治りが遅くなります。
おっちゃんは病院に行かずに割と早めに回復できましたが、やはり四十肩を感じたら整形外科で診てもらうのが安心でしょう。
こうして四十肩を合図として始まったおっちゃんの40代災いの日々ですが、次に起きたのが臭玉事件です。(つづく)